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カフェ・アークトゥルス

ご来店誠にありがとうございます。どうしよ、全然来れない!

2019-09

モノクロの世界~赤の珠(3)~

「はぁ、はぁ、はぁ……いったい、どこまで、行けば、いいの?」
 まだ目から出てくる涙を拭いながら、暗くて、蒸し暑い道をひたすら走っていた。心の中から消し去る事のできない不安が、じわじわと滲み出てくる。
私は、何も出来ないの?
 私は、この世界で何をすればいいの?
 どうして私が虹の守護者なの?

 考えれば考える程、疑問が湧き上がってくる。
「どうして、どうして私がこんな目に遭わないといけないのー!!」
 思いっきり叫んでやった。どうしようもない不安や、無力さを誰かにぶち当ててやりたかった。その時――!
―この世に送られた虹の守護者よ……
「!」
 誰かの声がした。何処かで聞き覚えがある。私は、足を止めて、辺りを見回す。
 誰もいない、暗くて蒸し暑い通路。誰もいないのに、また声がする。
―そなたは虹の守護者。そなたには秘められた力がある。
「あなたは、誰?私に秘められた力って、何?」
 私の問いかけには関係無しに、『声』は私に向かって言った。
―絵を描くことが得意だそうが……誠か?
 答えるのに戸惑った。誰かも分からない人……『声』に話していいのか?でも、もしかしたら、何かヒントを、サラの力になれる事が出来るかも知れない。
「はい。得意までとはいきませんが、よく絵は描いていました。」
―ならば、よろしい。そなたに、一つ、虹の守護者の力を解放させる術を授けよう。
「ほ、本当ですか?!」
―私は嘘をつかない。では、思い描くが良い。心の中にある、まっさらな白い紙に、冷たい氷を描くのだ……!
 私は目を瞑って、念じた。不思議なことに、心の中が真っ白に、まるで新品の紙のように白くなった。
(冷たい、冷たい氷……暑さに負けない透明な氷!)
 心の紙に、薄い水色を含ませた筆で、冷たい氷を一瞬で描く。
 ピキン!
 氷を描き終えて、ふっと目を開けると、私の周りの壁が、薄い水色の氷になっていた。
「わ……すごい!これが、虹の守護者の力ですか?!」
―さよう。それが、虹の守護者の第一の力だ。さあ、行くのだ!灰色のこの世界を救え!
「はい!ありがとうございます!」
 どこに『声』がいるかは分からないけど、お辞儀をして、暗い道をまた走り始めた。
(まっててね、サラ!私が力になってあげるから!)

次の話へ続く
や~っと、更新だ!最近、更新が遅くなってごめんなさい
色々あるんですよ~、学生には!
以下、コメントを下さった方へのお返事と、独り言……です。


10月17日:一部修正しました。

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モノクロの世界~赤の珠(2)~

 下を見て怖くなった理由……それは、ぐつぐつに煮えたマグマの中に人らしき形をしたものがあったからだ。人にしては、ちょっと小さい。だけど、確かに人の形はしていた。
 普通、人がマグマの中に入ったら死んでるよね……?
「ファイアドールか。」
「ファイアドール?」
 私はサラに聞き返した。どうやらサラには、思い当たるところがあるらしい。
「野生の生き物ではない。誰かがここに仕掛けたんだろう。名前の通りに、人形なんだが、昔、誰かが開発した高温な場所の戦闘機械。
 一個一個は弱いんだが、集団だったら厄介だ。」
「ってことは、誰かが仕掛けたのかな?私たちの事を知って。」
 ゆっくりと翼をはためかせながら降下する私たち。地面に降り立ち、私を岩壁の隅に座らせた。そして、そこからマグマが煮え立つ危険なつり橋に立つ。
「どうやら、そうみたいだね!」
 
 サラがそう言ったその時、マグマから大量のファイアドールが、水面から飛び出るみたいに現れた。ご、500はいるんじゃないかな……?
 サラはコートで隠れていた腰の辺りに両手を入れていた。右手は左腰に、左手は右腰に。
 ファイアドール達は両手に溶岩の塊を持っていた。それを一気にサラに向かって投げつける!
「サラ、危ない!!」
 塊は、サラに当たって、サラは死んじゃうはずだった。私は手で目を隠していた。なんだか怖かった。私がサラを殺したって思うと……
 辺りがしん……として、私は恐る恐る覆っていた手を外し、辺りを見た。
 そこには、空中で翼をはためかして静止しているサラの姿と、マグマの中に落ちていくファイアドール達が見えた。よく見ると、サラの両手には、太くて、大きい剣を2本持っていた。
 また、マグマの中から大量のファイアドールが現れた。今度はさっきより数が多い!
 この時はサラの方が速かった。空中を蹴ったかと思うと、目にも見えぬ速さで飛び回り、ファイアドールを切り裂いていく。私の目には、サラの服の黒さと、剣の切り裂いた残光しか見えなかった。

「この野郎……やってもやっても出てくる!これじゃ埒があかない!ナナミ、そこに穴があるだろ!そこを通って奥へ行け!」
「分かった!」
 すぐ横を見ると、人が1人、やっと通れる位の大きさの穴があった。
 私は穴に入る直前、後ろを振り向いた。そこには、ファイアドールを相手に、空中で剣を振るうサラの姿があった。
「サラ……死んじゃわないでね。私は何もできないけど……」
 なんだか目に涙が浮かんだ。視界がぼやけてくる。
 私はまた穴の方に目をむけると、蒸し暑い闇の中を走っていった。

次の話へ続く
以下、コメントを下さった方へのお返事です。
ちなみに、『埒』という文字は『らち』と読みます。
コメントをしてくださった方のみ閲覧お願いします

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モノクロの世界~赤の珠(1)~

「…きろ、ナナミ、起きろっ!」
「きゃっ!」
「ったく、一度で起きろ。いつ敵に襲われるか分からないんだぞ!この世界じゃ。」
 私は誰かに起こされて、目の前いる人を見上げる。……サラだった。やっぱり、昨日の事は現実だったのね。
「ほら、あと3分でここを出るぞ!急ぎな!」
「は、はいっ!……眠いなぁ。
 こうして、私の冒険2日目が始まった。それにしても、サラって、変な所ってたまにあるよねぇー。(後で教えてあげる!)
 私は洗面台で顔を洗いながら窓の外を見た。
 相変わらずの灰色の世界。どうやら、灰色に見えるのは、自然の風景だけみたい。建物や人なんかには、ちゃんと色がついている。かと言って、鮮やかな色じゃない。ちょっとだけくすんで見える。

「じゃあ、忘れ物は無いか?ここには、何か無い限り戻ってこないからね。」
「う、うん!」
 私がそう言うと、サラは早足で宿屋を出て行った。きっと目的地があるのだろう。私は必死にサラの後を追いながら聞いた。
「ねえ、今日は何処かにいくの?」
「ああ。最初の珠があるかもしれないところに行く。あそこは下手したら、命を一瞬で落とすから気をつけろ。」
 その言葉を聞いたとき、ぶるっと身震いがした。怖い、と思いながらもその場所を聞いてみる。
「そこって、どこ?」
「火山。今の時期、活動が激しいからな。」
 え?か・ざ・ん……?!
 どんだけ自然が残っているのよ!ったく、きっと、この後の色も自然だらけな所に行くんだろうなぁ。なんか、RPGを想像しちゃった。

 小石が転がっている土の道をすたすた歩いていくサラ。その後を疲れながらも必死に追いかける私。何だか情けないわ……。
 疲れながら歩いているせいだろうか。地面を見たら、土質が変わっていくのが分かった。もう2時間は歩いているわ。
「ほら、ここが赤い珠があると言われているアラマク火山だ。」
「うわーっ!」
 私は喚声を上げた。大きさは、楽に富士山を越えているんじゃないかしら。灰色なのは残念だけど、きっと絵にしたら綺麗だと思うわ。
 火山の中に一歩踏み入れると、ものすごい熱気が体を包んだ。
「あ、暑いよぉ……」
 私はシャツの袖をめくって汗を拭いた。サラは相変わらず長袖。ったく、黒は暑くなりやすいのよ!
 熱い火山のなかをゆっくりと進んでいく。
「ナナミ、危ない!!」
 前から急にサラの声がしたと思ったら、サラに抱きかかえられ、空中に浮いていた。
 下をそっと見てみると……なんなのよ、アレ!
 私の下にあるものに私は心底怖くなった。

次の話へ続く
今日は短めにしてみました。
以下、コメントを下さった方へのお返事です!

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モノクロの世界~虹の守護者~

 足が鉛を流し込んだように重い。更に汗が噴き出るように出て、とても暑かった。前に『私服じゃなかったら凍え死にする』って書いていたけど、前言撤回。動けばすぐに暑くなった。私は、元々、汗っかきだからね。
「はぁ、はぁ……疲れたよぉ……ちょっと、休憩しませんか?」
 私は前を涼しげな顔で歩いているサラに言った。サラは立ち止まって私の方を振り向いた。
「見た目よりずいぶんと体力ないんだね、あんたは。宿場町まで、あと少しだ。そんなのじゃここでは生きていけないよ。」
「どれくらいあるんですか?」
「ま、このままのペースで行くと2時間はかかるな。」
「に、2時間?!」
 ったく、ここはどれだけ町から離れているのよ!あ~あ、ここに車や電車があったら楽に行けたのにな。でも、ここは異界よ。そんなのある訳ないよね~。
「そういや、虹の守護者について話していなかったな。少し長い話になるから、暇つぶしにはなるだろ。」
「あ、そういえば。どんな話なんですか?」
 私は聞くと、サラは話し始めた。何とも不思議で、悲しい話を……。

「あれは、2年前の春の事だった。私はその頃、14だった。
 今のこの様な状態じゃなく、緑も溢れ、町も活発で、本当に豊かだったよ。
 虹の守護者については昔の伝説だとしか思っていなかった私も、まさか、こんな時が来るとは当然思っていなかったけどな。
 話が少しそれるが、ここはちょうど北東に位置している。ここの正反対、つまり南西には『永遠の虹』というものがある。」
「『永遠の虹』?」
 私はサラに聞いた。
「そうだ。『永遠の虹』は、その名の通り、ずっと虹がかかっていて、そこは極上の楽園なんだそうだ。
 しかし、その『永遠の虹』が色褪せ、薄れてきているそうだ。虹が薄れるごとに、空は灰色に染まり、農作物が取れなくなる。……すると、どうなるか、分かるよな?」
 サラに聞かれ、私は思いついた答えを言った。
「……食べ物が手に入らなくなる。」
「その通り。草や農作物が育たなくなると、家畜や人々が飢える。」
 私は、その続きが分かった瞬間、体が震えてきた。歴史の授業で習った、天保の大飢饉を思い出す。
「人は、生きる為に、争いを始めるんだ。国を攻め、人々を殺し、食料を確保する為に、また戦を始める。……悲しい事だが、それが、ぐるぐると、輪廻しているんだよ。」
 じゃあ、今はその真っ只中って事……?助かる道はあるの?
 さっきまで大量にかいていた汗が一気に引くのを感じた。
「ただし、虹の守護者のおまえが来たなら、助かる道は一つだけだ。」
「助かる道……?」
「そうだ。私も伝説でしか聞いた事が無いんだが。」
「何?その道は?」
 私は早く聞きたかった。私が死なない為、この世界で生きる人たちが悲しい死にかたをしない方法。
「この世界には、それぞれ七つの色をした玉があると聞いた事がある。
 確か、赤、青、黄、緑、水色、藍色、紫の色をした小さな玉と、以前に読んだ本に書いてあった。」
「じゃあ、それを集めればいいんだね?」
「多分、な……。七つを集めたら、さっき話した『永遠の虹』がかかっているところに行く。そしたら、この世界は救われる。」
 多分、私にとって、長く、辛い旅になると思う。それでも、私にできる事なら、やるわ!この世界のみんなの為に!

「ほら、宿場町が見えたぞ。町に入るなら、これを着るんだ。その格好じゃ、人に見られるだろう?」
 私は、はっと、自分の服装を見た。確かに、こんなに派手じゃ目立つわ。
 サラが自分の上着を脱いで私に差し出してくれた。ずいぶんと大きかったが、そこは我慢。
「じゃ、町に入るぞ。」
「うん。」
 私たちは、暖かい明かりが灯った町に足を踏み入れた。

次の話へ続く

以下、コメントをくださった方へのお返事です。

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モノクロの世界~旅立ちへ(2)~

「おまえ、荷物を持っていないんだな。よくここまで来れたね。」
「うん、なんと言うか……落ちてきたって言えないし。
「何か言ったか?」
「い、いえ!何でもアリマセンッ!」
 途中で棒読み口調になってしまった私の声を聞いて、女の人は喉でククッ、と笑った。
「おまえって、ちょっと変な奴だな。……そうだ、名前は?」
「下田ナナミです。ナナミって呼んでもらっていいです。」
「ナナミ、か。私は、サラ・グラフィアスだ。よろしく。」
 サラさんは私に手を差し伸べてくれた。私はその手を軽く握った。

 サラさんは、天使っぽいんだけど、翼が黒いから、『天使』というより、『悪魔』とか、『鴉(カラスって読むんだよ)』のような、黒いものがピッタリくる。
私はそのことをサラさんに聞いてみたら、こう答えてくれた。
「さん付けはよしてくれ。なんだかくすぐったい気持ちになる。
 私は、生まれつきこんなのだよ。ナナミだって、そうじゃないか?詳しくは、また、会えたら話してやるよ。じゃ、そろそろ行こうか。」
 なんだか、納得するような、納得しないような答えだった。私はゆっくりと腰をあげた。すると、ズボンのポケットから、何かが落ちた。

「なんだろ、これ……?」
「どうした、行くぞ!」
 サラの声が聞こえた。私は拾い上げたものを見せながら言った。
 少し長細いアクセサリーみたいな物で、金色に輝いている。それには七つの小さな丸い窪みがある。私はこんな物は持っていない。
「あ、いや、ポケットから何か落ちたから。」
「ん?なら、落とさないように持っときなさ……ちょっと、それはまさか……?!それを見せな!」
 サラは私のそばに駆け寄って、アクセサリーを見た。それを裏返すと、文字が彫ってあって、その文字を読んでいくうちに、サラの顔が険しくなっていく。
「……なんだって?!おまえ、虹の守護者だったなんて!もっと早く言えよ!」
「え?虹の守護者って?」
「は?!今、自分が何なのか分からないのか!おまえは、この世界を救う最終兵器みたいなもんだ!……とうとう、この時が来てしまった。この、くすんだ世界が滅びてしまう時が……。」
 
 この世界が滅びる?最終兵器?虹の守護者?いったい、この世界に何が起こっているの?私は、何かの渦に巻き込まれていく事を、うっすら感じていた。
「とにかく、おまえが今、ここにいる世界……くすんで、いまにも崩れそうなこの世界に何が起こっているか、知りたいだろう?」
 私は、大きく頷いた。
「ここを数時間歩いた所に、宿場町がある。そこまでの道を歩いて行くから、その間にでも教えてやるよ。」
「す、数時間も?!」
「いやなら、ここに置いて行ってもいいが、狼のエサになるか?」
 えええ?!そこまで言わなくてもいいじゃない!だったら、ついて行くしかないじゃないの!

「ほら、とっとと行くぞ。」
「は、は~い……。」
 こうして、私とサラとの旅が始まった。くすんだ色のこの世界で…。

次の話へ続く

以下、サラ・グラフィアスの簡単なプロフィールと、コメントを下さった方へのお返事です。

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Author:夜叉音 彪奈
やしゃね ひょうなと読みます。
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